仕事や勉強の手をちょっと休めて外を眺めてみると、コナラの木が風に揺れ、モズの高鳴きが聞こえてきます。植物や鳥、昆虫、魚、土の中の微生物まで、地球上には500万種から3000万種もの生き物が存在するといわれています。
多様な種は食物連鎖や共生などの関係を保ちながら生態系のネットワークを作っています。砂漠の生態系もあれば、熱帯雨林の生態系もあります。同じ種でも、黒部川と信濃川のイワナが遺伝的に違うように、遺伝子にも多様性があります。こうした地球上の多種多様な生き物のつながりを「生物多様性」と呼びます。
生物多様性はいま危機に陥っています。現在わかっている地球上の生物の種は164万2189種。そのうち4万4838種を調べたところ、約40%に当たる1万6928種が絶滅の危機に瀕していることがわかりました。開発による生息地の減少や、乱獲、化学物質による大気や水の汚染、地球温暖化に伴う環境の変化など、人間活動が大きな原因になっています。
ウグイスやハチがいなくなっても、私たちの生活とは関係ないと思っていませんか?実は生物多様性は私たちの暮らしと密接にかかわっています。今日使った紙やテーブルは、東南アジアの天然木を加工して作られたものかもしれません。医薬品や化粧品は森の中の微生物を利用して製造されたものかもしれません。果物や野菜はハチが受粉してくれています。おいしい水が飲めるのも、森が水を涵養し濾過してくれるからです。森は洪水や気候も調節してくれます。人間はこうした生物多様性の恵みなしには生きていけません。
生物多様性が失われれば、食料危機や水不足に陥ったり、自然資源を持続可能に利用できなくなる恐れがあります。企業にとっては商品(製品)の原材料となる食料や微生物、森林資源や鉱物資源を持続的に調達できなくなり、経営リスクにつながりかねません。
かけがえのない生物多様性を守るために私たちは何ができるのでしょうか。企業は生産工程の上流から下流で生物多様性に負荷を与えない配慮が求められます。たとえ合法な原材料でも、生物多様性上、保護価値の高い木材や魚などの原材料なら、使用しないことが肝心です。工場を建設する際に里山の生物多様性を破壊しない注意も必要でしょう。
都市に暮らす人々は、日常の消費行動を見直すことで生物多様性の保全に貢献できます。「レインフォレストアライアンス」認証など生物多様性を守るコーヒー農園を認証したコーヒーや、希少種など森林生態系を保全するFSC(森林管理協議会)認証の紙や家具を購入するなど、消費で応援することも大事でしょう。自然の中に出かけて自然の恵みを体感することも大切です。











